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マイアサウラ(学名 Maiasaura peeblesorum)は、約7,700万年前の白亜紀後期、現在の北アメリカにすんでいた大型の植物食恐竜です。学名は「よき母トカゲ」を意味します。恐竜が子育てをしていたことを初めて明らかにした、研究史上とても重要なカモノハシ竜(ハドロサウルス)です。
マイアサウラの名は、巣・卵・赤ちゃん・子どもの化石がまとまって見つかったことに由来します。これは、親が巣をつくり、生まれた子どもの世話をしていたことを示す、世界で初めての確かな証拠でした。「恐竜は卵を産みっぱなしの冷たい生きもの」というそれまでのイメージを、大きく変えた発見です。
アメリカ・モンタナ州で見つかった営巣地からは、すり鉢状の巣がいくつも並んで見つかりました。巣の中の赤ちゃんの歯はすでにすり減っており、自分でうまく動けないうちから、親が巣にエサを運んでいたと考えられています。まさに「子育てをする恐竜」の姿が、化石として残されていたのです。
マイアサウラの営巣地は、巣と巣のあいだが親の体長ほどの間隔で、規則正しく並んでいました。これは、たくさんの親が集まって集団で子育てをする「コロニー(営巣集団)」をつくっていたことを示します。何千頭もの群れで暮らしていたとも考えられ、まさに「恐竜の町」のような光景が広がっていたのでしょう。
マイアサウラは、卵から成体まで、さまざまな成長段階の化石がそろっています。そのため、恐竜がどのくらいの速さで成長したのかをくわしく調べることができました。赤ちゃんは急速に成長し、数年でおとなの大きさに近づいたと考えられています。恐竜の一生を知るうえで、模範となる恐竜です。
マイアサウラはとさかのないハドロサウルス類で、幅広いくちばしと奥歯で植物をすりつぶして食べていました。大きな群れで暮らし、子育ても集団で行うことで、肉食恐竜の多い世界をたくましく生きぬいていました。
マイアサウラがいた白亜紀後期のモンタナは、火山の影響を受ける内陸の氾濫原でした。火山灰が巣ごと埋めたことで、子育ての様子がそのまま化石として残ったと考えられています。マイアサウラは、恐竜の「親の愛情」を私たちに教えてくれる、特別な恐竜なのです。
分類:鳥盤目 > 鳥脚亜目 > イグアノドン類 > ハドロサウルス科 > サウロロフス亜科