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イグアノドン(学名 Iguanodon bernissartensis)は、約1億2,600万〜1億2,200万年前の白亜紀前期、現在のヨーロッパなどにすんでいた大型の植物食恐竜です。学名は「イグアナの歯」を意味します。世界でいちばん早く発見・研究された恐竜のひとつで、恐竜研究の歴史そのものを語るうえで欠かせない存在です。
イグアノドンは1820年代、まだ「恐竜(ダイナソー)」という言葉が生まれる前に発見されました。その歯が現在のイグアナの歯に似ていたことから名づけられました。メガロサウルスなどと並び、のちに「恐竜(ディノサウリア)」という分類が作られるきっかけになった、記念すべき恐竜のひとつです。恐竜研究のまさに原点といえます。
イグアノドンの前あしの親指には、大きなとげ状の骨(スパイク)がありました。発見当初、研究者はこれを鼻の上の角だとかんちがいし、サイのような姿に復元してしまいました。その後の研究で親指のスパイクだと分かり、復元図は大きく描き直されました。このスパイクは、敵から身を守る武器や、植物を引き寄せるのに使ったと考えられています。
イグアノドンは、ふだんは4本足で歩き、急ぐときや高い植物を食べるときは2本足になれたと考えられています。前あしの中ほどの3本指はひづめのようになっていて、体重を支えるのに役立ちました。小指は物をつかめるよう器用に動き、手は「武器・支え・つかむ」を兼ねた、多機能なつくりでした。
1878年、ベルギーのベルニサールの炭鉱から、30体以上ものイグアノドンがまとまって見つかりました。これにより全身の姿がくわしく分かり、イグアノドンは恐竜のなかでもとくによく研究される存在になりました。これほど多くの個体が一か所で見つかったことから、群れで生活していた可能性も指摘されています。
イグアノドンは、角質のくちばしで植物をかみ取り、口の奥の歯で上下にすりつぶして食べていました。このすぐれた食べ方は、のちに大繁栄するカモノハシ竜(ハドロサウルス類)の歯の仕組みにつながっていきます。イグアノドンは、植物食恐竜の進化の「橋わたし」のような位置にいる恐竜なのです。
イグアノドンは河川や湿地のある森林にすみ、群れで移動していたとみられます。足跡の化石も各地で見つかっており、当時の世界に広く分布していたことが分かります。イグアノドンのなかま(イグアノドン類)は、白亜紀後期に世界中で栄えるハドロサウルス類の祖先に近いグループで、植物食恐竜の進化を語るうえでも、とても重要な位置にいます。
分類:鳥盤目 > 鳥脚亜目 > イグアノドン類 > イグアノドン科