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ティラノサウルス

Tyrannosaurus rex — 「暴君トカゲの王」

白亜紀 獣脚類
時代白亜紀後期(マーストリヒチアン)
年代約6,800万〜6,600万年前
全長11〜13 m(最大級のスコッティで約13 m)
体重約5,000〜8,000 kg(大型個体で8t超)
食べ物肉食(大型植物食恐竜などを捕食)
生息環境亜熱帯の沿岸平野・氾濫原(森林や河川のある低地)
発見地北アメリカ西部(米国モンタナ州・ワイオミング州・サウスダコタ州、カナダ・アルバータ州など)
地層ヘルクリーク層、ランス層など
ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex) 復元イメージ 🔍 タップで拡大
ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex) 復元イメージ

ティラノサウルス(学名 Tyrannosaurus rex)は、いまから約6,800万〜6,600万年前の白亜紀の終わりごろ、現在の北アメリカ大陸にすんでいた史上最大級の肉食恐竜です。学名は「暴君トカゲの王」を意味し、その名のとおり当時の生態系の頂点に立つ最強のハンターでした。数ある恐竜のなかでも知名度・人気ともにナンバーワンといえる、まさに恐竜界のスーパースターです。

どんな恐竜だったの?

ティラノサウルスは全長およそ11〜13メートル、体重は5〜8トンにもなる巨体の持ち主でした。これはバスよりも長く、アフリカゾウ数頭ぶんもの重さです。二本のたくましい後ろあしで体を支え、太く長い尾でバランスをとりながら、地上を歩き回っていました。

「スー」と「スコッティ」

これまでに見つかったなかでもとくに有名なのが、「スー」と「スコッティ」と名づけられた化石です。スーは保存状態が非常によく全身の約9割がそろっており、スコッティは体重が8トンを超える最大級の個体と推定されています。こうした標本のおかげで、ティラノサウルスの体つきや生き方がくわしく分かってきました。

最大の武器 ― 巨大な頭とあご

ティラノサウルス最大の特徴は、なんといってもその巨大な頭です。頭骨だけで1.5メートルを超え、そこには信じられないほど強力なあごの筋肉がついていました。そのかみつく力は現在知られている陸上動物のなかでも最強クラスで、獲物を骨ごとかみ砕くことができたと考えられています。

バナナのような歯

口の中には、長さ15〜30センチにもなる太く鋭い歯がずらりと並んでいました。その太さから「殺すためのバナナ」とも例えられます。この歯は薄いナイフ型ではなく、太くて頑丈なつくりだったため、肉を切り裂くだけでなく、骨をかみ砕く力にも耐えられました。実際、ティラノサウルスのフンの化石からは、砕かれた骨のかけらが見つかっています。

不思議な小さい前あし

巨大な体とは対照的に、前あしはとても小さく、ヒトの腕ほどの長さしかありませんでした。指は二本だけ。この「小さな腕」が何の役に立ったのかは、獲物を押さえるため、起き上がるときの支え、求愛行動などさまざまな説があり、今も研究者のあいだで議論が続いています。

すぐれた感覚 ― 目と鼻

ティラノサウルスは、ただ力が強いだけの恐竜ではありませんでした。両目が前を向いていたため、人間のように立体的にものを見る「立体視」ができ、獲物までの距離を正確につかめたと考えられています。さらに、においを感じる脳の部分(嗅球)が大きく発達していたことから、嗅覚もとてもすぐれていたとみられます。遠くの獲物や死んだ動物のにおいを、いち早くかぎ分けていたのかもしれません。

狩りをするハンター? それとも掃除屋?

ティラノサウルスが、生きた獲物を襲う「ハンター」だったのか、死んだ動物を食べる「スカベンジャー(掃除屋)」だったのかは、長く議論されてきました。現在では、するどい感覚と強力なあごをもつことから、生きた獲物も狩りつつ、死体も無駄なく食べる、両方をこなす万能の捕食者だったと考えるのが一般的です。トリケラトプスやエドモントサウルスといった大型の植物食恐竜が、おもな獲物だったとみられます。

成長と暮らし

ティラノサウルスは、子どものころは細身ですばやく、おとなになるにつれて急激に大きく重くなったことが、骨の研究から分かっています。十代のころに「成長期」をむかえ、一気に巨大化したのです。寿命はおよそ30年弱と推定されています。複数の個体が一緒に見つかる例もあり、群れで行動していた可能性も指摘されていますが、これについてはまだ研究が続いています。

繁殖となかまたち

ティラノサウルスは卵を産んでふえたと考えられていますが、じつはティラノサウルス自身の卵や巣は、まだ一つも見つかっていません。近縁の獣脚類の証拠から、硬い殻の卵を産み、親が巣の世話をした可能性が研究されています。なかまにはアジアにすんでいたタルボサウルスや、細長い顔のキアンゾウサウルスなどがいて、ティラノサウルス科として一大グループを築いていました。

発見の歴史

ティラノサウルスが正式に名づけられたのは1905年のことで、アメリカ自然史博物館のヘンリー・オズボーンによって記載されました。じつは、それ以前に見つかっていた骨が別の名前でよばれていた時期もありましたが、最終的に「ティラノサウルス・レックス」の名が広く定着しました。化石はアメリカのモンタナ州・ワイオミング州・サウスダコタ州や、カナダのアルバータ州などで見つかっています。

生きた時代と最期

ティラノサウルスが生きたのは、白亜紀のいちばん最後の時代(マーストリヒチアン)でした。当時の北アメリカは、森林や川のある温暖な沿岸の低地が広がり、トリケラトプスやエドモントサウルスなど多くの恐竜でにぎわっていました。しかし約6,600万年前、巨大な隕石の衝突をきっかけとした大事件によって、ティラノサウルスをふくむ恐竜たちは姿を消しました。地球最後の恐竜時代に頂点として君臨した王者、それがティラノサウルスなのです。

分類:竜盤目 > 獣脚亜目 > コエルロサウルス類 > ティラノサウルス上科 > ティラノサウルス科

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