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イクチオサウルス(魚竜、学名 Ichthyosaurus communis)は、約2億〜1億9,000万年前のジュラ紀前期、現在のヨーロッパの海にすんでいた海生爬虫類です。学名は「魚トカゲ」を意味します。まるでイルカやマグロのような、流線型の体つきが特徴です。
イクチオサウルスは爬虫類でありながら、イルカやサメのような魚に近い体つきをしていました。これは、海で速く泳ぐために、まったく別の系統の生きものが似た形に進化した「収れん進化」の有名な例です。背びれと三日月形の尾びれをもち、海中をすばやく泳ぎ回っていました。
イクチオサウルスのなかまは、体のわりにとても大きな目をもっていました。これは、光の少ない深い海や、暗い時間帯でも獲物を見つけるためだったと考えられています。鋭い感覚で魚やイカに似た頭足類を追いかけ、捕らえていました。
イクチオサウルスのなかまの化石には、母親の体内に赤ちゃんが入ったものや、出産の最中のものが見つかっています。これにより、魚竜が卵ではなく子どもを直接産む胎生だったことがはっきり分かりました。しかも赤ちゃんは尾から先に生まれており、これはイルカと同じく、水中で溺れないための工夫だと考えられています。
イクチオサウルスの化石は、19世紀のはじめにイギリスのメアリー・アニングという女性によって数多く発見されました。彼女は当時めずらしい女性の化石採集家で、その発見は古生物学の発展に大きく貢献しました。イクチオサウルスは、科学の歴史を語るうえでも大切な存在です。
イクチオサウルスがいたジュラ紀前期のヨーロッパは、温暖な浅い海が広がっていました。その海をイルカのようにすばやく泳ぎ、魚や頭足類を狩って暮らしていました。魚竜は三畳紀から白亜紀まで長く栄えましたが、恐竜より少し早く姿を消しました。海の進化の不思議を教えてくれる、興味深い爬虫類です。
分類:爬虫綱 > 魚竜上目 > 魚竜目 > イクチオサウルス科