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トリケラトプス(学名 Triceratops horridus)は、約6,800万〜6,600万年前の白亜紀の終わりごろ、現在の北アメリカにすんでいた大型の植物食恐竜です。学名は「3本の角をもつ顔」を意味し、その名のとおり顔に生えた3本の角と、頭の後ろに大きく広がるえり飾り(フリル)がトレードマーク。ティラノサウルスと並ぶ、恐竜界でもっとも人気の高い恐竜のひとつです。
トリケラトプスは全長8〜9メートル、体重は5〜9トンにもなる、ゾウより大きな植物食恐竜でした。がっしりした4本の足で重い体を支え、サイのような姿で大地を歩いていました。低い位置に生えるシダやソテツ、ヤシなどの植物を主に食べていたと考えられています。角竜(ケラトプス類)のなかでも最後の時代に栄えた、最大級の種です。
鼻の上に1本、両目の上に2本、あわせて3本の角をもっていました。目の上の角は1メートルを超えることもありました。頭の後ろには骨でできた大きなフリル(えり飾り)が広がり、頭骨全体の長さは2メートルを超えることもあります。これは陸上動物のなかでも最大級の頭で、トリケラトプスの存在感を決定づける特徴です。
かつてはこの角とフリルは、肉食恐竜から身を守る「武器」「盾」と考えられていました。実際、ティラノサウルスにかまれた跡が残るトリケラトプスの化石も見つかっています。しかし近年では、仲間どうしの見分けや、相手へのアピール(ディスプレイ)、オスどうしの力比べに主に使われたという考えが有力です。フリルの形が個体や成長段階で変化することも、その証拠とされています。
口の先はオウムのようなかたいくちばしになっていて、丈夫な植物もしっかりかみ切れました。口の奥にはたくさんの歯が積み重なった「デンタルバッテリー」という構造があり、植物をすりつぶすのに役立ちました。歯はすり減ると次々と新しいものに生えかわり、一生のあいだに何百本もの歯を使ったと考えられています。
トリケラトプスが群れで暮らしていたかどうかは、研究者のあいだで議論があります。近縁の角竜には何十頭もまとまって見つかる例がありますが、トリケラトプスはまとまった化石が少なく、ふだんは単独か小さな家族で行動していた可能性も指摘されています。一方、若い個体が数頭一緒に見つかった例もあり、少なくとも子どものうちは群れていたのかもしれません。
トリケラトプスは、成長するにつれて角やフリルの形が大きく変わったことが分かっています。子どものころは角が短く後ろ向きで、おとなになると前向きの長い角になりました。この変化が大きいため、かつては別種とされていた化石が、じつは成長段階のちがいだったという例もあります。
トリケラトプスは1889年に記載されました。角竜のなかでも、フリルが長く穴の少ないカスモサウルス亜科に属します。よく似た「トロサウルス」という角竜が、成長しきったトリケラトプスではないかという議論もありましたが、現在では別種とする見方が主流です。北アメリカ西部の広い範囲で多くの化石が見つかっており、もっともよく知られた角竜です。
トリケラトプスは、白亜紀末の北アメリカでもっとも数の多い大型植物食恐竜のひとつでした。その証拠に、頭骨だけでも数十個が見つかっており、角竜のなかでも群を抜いて化石が豊富です。子どもからおとなまで、さまざまな成長段階の標本がそろっているため、どのように育っていったのかをくわしく追うことができる、研究上とても恵まれた恐竜でもあります。
トリケラトプスは白亜紀のいちばん最後の時代(マーストリヒチアン)に大繁栄しました。当時の北アメリカは温暖な沿岸の低地で、シダや裸子植物が茂っていました。同じ時代・同じ場所には最強の肉食恐竜ティラノサウルスがいて、両者は獲物と捕食者の関係にありました。しかし約6,600万年前、巨大な隕石の衝突をきっかけとした大事件で、トリケラトプスもティラノサウルスとともに姿を消しました。トリケラトプスは、地球最後の恐竜時代を生き、恐竜という時代の幕引きに立ち会った、まさに象徴的な一頭なのです。
分類:鳥盤目 > 周飾頭類 > 角竜類 > ケラトプス科 > カスモサウルス亜科