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オヴィラプトル(学名 Oviraptor philoceratops)は、約7,500万〜7,100万年前の白亜紀後期、現在のモンゴルにすんでいた小型の恐竜です。学名は「卵どろぼう」を意味します。しかしこの名前は、じつは大きな誤解から生まれたものでした。その「名誉回復」の物語で有名な恐竜です。
1920年代、オヴィラプトルの化石が、プロトケラトプスの卵とされる巣のそばで見つかりました。研究者は「他人の卵を盗んで食べようとしていた」と考え、「卵どろぼう」と名づけました。しかしのちに、その卵はプロトケラトプスではなくオヴィラプトル自身の卵だと判明します。つまりオヴィラプトルは卵を盗むどころか、自分の巣で卵を守っていた、よい親だったのです。
その後、オヴィラプトルのなかまが、巣の上に座って翼を広げ、卵を抱くように保護したままの姿で見つかりました。これは現在の鳥が卵を温める姿とそっくりで、恐竜が鳥のように子育てをしていた直接の証拠として、世界的に注目されました。「卵どろぼう」という汚名は、こうして完全にぬぐわれたのです。
オヴィラプトルは歯がなく、オウムのようなくちばしをもっていました。頭にはとさかのような盛り上がりがあり、見た目にも個性的です。何を食べていたかは議論があり、植物・卵・貝・小動物など、いろいろなものを食べる雑食だったと考えられています。
オヴィラプトルは全身が羽毛におおわれ、前あしには翼のような羽が生えていたと考えられています。卵を抱くときに翼を広げて巣をおおったとみられ、鳥に非常に近い恐竜です。鳥が恐竜から進化したことを示す、重要な仲間のひとつです。
オヴィラプトルがいた白亜紀後期のモンゴルは、砂丘の広がる乾燥した土地でした。砂嵐が多く、巣で卵を守っていた親がそのまま砂に埋もれたことで、貴重な化石が残されました。子育ての様子をそのまま閉じ込めた砂漠は、恐竜の親の愛情を今に伝えてくれます。
オヴィラプトルの物語は、「最初の印象だけで判断してはいけない」という教訓を伝えてくれます。いったんつけられた学名は変えられないルールがあるため、今も「卵どろぼう」の名のままですが、その正体はわが子を守るやさしい親だったのです。
分類:竜盤目 > 獣脚亜目 > オヴィラプトロサウルス類 > オヴィラプトル科