
「ヨーロッパには角竜(つのをもつ恐竜の仲間)はほとんどいなかった」——長くそう思われてきた常識を、ルーマニアの化石がくつがえしました。新属フェレンケラトプス・シュキペロルム(Ferenceratops shqiperorum)です。2026年、これまで別の恐竜とされていた化石が、じつは角竜だったと分かりました。
角竜といえば、トリケラトプスのように顔につのやえりかざり(フリル)をもつ植物食恐竜のグループです。これまでは、おもに北アメリカやアジアでさかえたと考えられ、ヨーロッパにはほとんどいなかったとされてきました。ところがフェレンケラトプスの発見で、じつはヨーロッパにも角竜がふつうにくらしていた可能性が見えてきたのです。
この化石(骨格や骨盤の一部)は、もともと植物食恐竜ザルモクセス(ラブドドン類というグループ)の仲間とされていました。しかし2026年、くわしく調べなおすと、ラブドドン類ではなく角竜だったと判明。新しい属名フェレンケラトプスがつけられました。生きていたのは白亜紀のいちばん終わりごろ(マーストリヒチアン)、いまのルーマニア・ハツェグ地方です。
属名は、20世紀に活やくしたオーストリア=ハンガリーの古生物学者フランツ・ノプチャ男爵への敬意をこめてつけられました。ノプチャは、この地域の化石を最初に研究した人物として有名です。トランシルヴァニア(吸血鬼ドラキュラの舞台としても知られる地方)の恐竜に、なんともふさわしい名前ですね。
大むかし、ハツェグ地方は海にかこまれた島でした。島では食べ物がかぎられるため、大きな動物が世代を重ねるうちに小型化することがあります。じつはこの「島のこびと化(島嶼矮小化)」を最初に唱えたのもノプチャでした。ハツェグの恐竜たちは、本土の仲間より小ぶりだったと考えられています。
“いなかったはず”の角竜が、じつはヨーロッパにもいた——フェレンケラトプスは、恐竜の世界地図をぬりかえる発見です。博物館にねむる古い化石を見なおすことで、こんなに大きな発見が生まれるのですね。
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出典:Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)/Wikipedia「Ferenceratops」(2026年)(最終確認:2026年6月)