
たくさんの鳥の化石が見つかることで有名な中国・甘粛(かんしゅく)省の地層から、ついに“恐竜”が見つかりました。新種ジエン・チャンマエンシス(Jian changmaensis)です。羽毛をもつ小型の肉食恐竜ミクロラプトル類(ドロマエオサウルス類の一グループ)の仲間で、2026年に学術誌『Annals of Carnegie Museum』で報告されました。
属名ジエンは、中国の伝説に登場する「翼が一枚しかない鳥(鶼)」にちなんでいます。種名「チャンマエンシス」は、化石が見つかった甘粛省・昌馬(チャンマ)盆地の地名から。羽毛恐竜にふさわしい、ロマンのある名前です。
ジエンは、羽毛におおわれた小型の肉食恐竜でした。ミクロラプトル類は、前あしだけでなく後ろあしにも長い羽をもち、木から木へ滑空していたとも考えられる、鳥にとても近いグループです。見つかった化石は肩や前あしの骨などで、骨のつながり方からすでに大人になっていた個体と判断されました。大きさは、大型のミクロラプトルくらいだったと推定されています。
化石が見つかった下溝(シャーゴウ)層は、約1億2000万年前(白亜紀前期アプチアン)の地層で、これまでに100体をこえる鳥の化石が見つかってきた“鳥の宝庫”でした。しかし、鳥ではない恐竜が記載されたのはジエンが初めて。鳥たちのご先祖に近い恐竜が、同じ場所で暮らしていたことを示す貴重な発見です。
いまでは、鳥は羽毛恐竜から進化した「生きている恐竜」だと考えられています。ミクロラプトル類のような羽毛恐竜は、恐竜から鳥への進化の“橋わたし”を知るうえでとても大切。ジエンの発見は、その物語にまた一つ証拠を加えました。
鳥の化石ばかりが見つかってきた地層から現れた、初の羽毛恐竜ジエン。伝説の鳥の名をもつこの小さなハンターは、恐竜と鳥のつながりをいきいきと感じさせてくれます。中国の大地は、まだまだ羽毛恐竜の発見にあふれていそうです。
出典:Wikipedia「2026 in archosaur paleontology」/論文:Annals of Carnegie Museum vol.92(2)(周ほか、2026年)(最終確認:2026年6月)