
鳥にとても近い恐竜オヴィラプトルの仲間が、自分の体温だけでなく“太陽の熱”も利用して卵をあたためていた可能性――。台湾の研究チームが実物大の巣と親の模型をつくり、熱の伝わり方をコンピューターでシミュレーションした最新研究が、恐竜の意外な“子育ての姿”を描き出しました。2026年7月初旬に学術誌『Frontiers in Ecology and Evolution』で発表され、話題になっています。
オヴィラプトルの仲間の巣は、たくさんの卵をリング(輪)状に並べ、中央を大きく空けるという独特の形をしています。親はそのまん中に座り、体で卵を守っていたと考えられてきました。ところがこの並べ方だと、現在の鳥のようにすべての卵に体をぴったり密着させることができません。では、どうやって卵をあたためていたのか――そこが長年の謎でした。
研究チーム(台湾・国立自然科学博物館のヤン・ツールイ氏ら)は、中国で見つかっているヘユアンニア(Heyuannia huangi)という種類をモデルに、実物大の巣と親の模型を製作。そこに熱がどう伝わるかを詳しくシミュレーションしました。ヘユアンニアは約7000万〜6600万年前の白亜紀後期に生き、全長およそ1.5メートル・体重20キロほどの、羽毛をもつ小型の恐竜です。
その結果わかったのは、親の体温だけでなく太陽の熱を組み合わせた“共同抱卵”という方法。土からの熱よりも、降りそそぐ日光の熱のほうがずっと重要だったと考えられるといいます。つまりオヴィラプトルは、自分の体と太陽の両方をうまく使って卵を守っていた、というわけです。
シミュレーションでは、リングの外側に置かれた卵ほど温度が低くなり、条件によっては内側の卵と最大6℃もの差が生まれることがわかりました。この温度差のせいで、卵は同時ではなくばらばらのタイミングで孵化した可能性があります。一方、まわりが十分に暖かい環境では差はわずか0.6℃まで縮まり、そろって孵りやすかったと考えられます。子どもが生まれる時期が天気や気温に左右される、なんともダイナミックな子育てです。
オヴィラプトルの抱卵は、卵をすっぽり土に埋めるワニなどのやり方と、卵をむき出しにして親があたためる鳥のやり方のちょうど中間にあたります。効率は現在の鳥ほど高くありませんが、それでも立派に通用する子育ての戦略でした。今回の研究は、恐竜から鳥へと受け継がれていった“親が卵をあたためる”という習性が、どのように進化してきたのかを知る大切な手がかりになります。
恐竜というと狩りや戦いのイメージが強いですが、じつはこんなに繊細な“子育て”の工夫をしていた――。太陽の力を借りて卵を守ったオヴィラプトルの姿は、恐竜が鳥の祖先であることをあらためて感じさせてくれます。
出典:ScienceDaily「Scientists recreated a dinosaur nest and solved a 70-million-year-old mystery」/論文:Frontiers in Ecology and Evolution, 2026(台湾・国立自然科学博物館ほか。最終確認:2026年7月)
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