
中国の熱河(ねっか)生物群から見つかった翼竜シノプテルス(Sinopterus dongi)の体毛に、緑からマゼンタ(赤むらさき)へと移り変わる“玉虫色(たまむしいろ)”の輝きがあったかもしれません。2026年、研究チームがプレプリント(査読前の論文)として報告しました。鳥以外の動物で、こうした「構造色」のはっきりした証拠が見つかるのはとてもめずらしいことです。
翼竜はトカゲのようにツルツルだった——そんなイメージは、もう古いかもしれません。翼竜の体はピクノファイバーとよばれる細い毛のようなものでおおわれていたと考えられています。鳥の羽毛とはちがいますが、体をあたため、見た目をかざる役目があったようです。シノプテルスは、頭に大きなトサカをもつタペヤラ類という、植物食寄りの翼竜の仲間です。
研究チームがピクノファイバーを細かく調べると、色のもとになる粒(メラノソーム)が、きれいに層になって並んでいたことがわかりました。この“ならび方”こそが、光をはね返して特別な色を生み出すしくみです。コンピューターで光のはね返り方を計算すると、深い緑からマゼンタへとうつろう色が現れました。ハトやムクドリの首が、見る角度で色を変えるのと同じ原理です。
絵の具のように“色のもと”でつく色を色素色(しきそしょく)といいます。いっぽう、構造色は、ものすごく細かいデコボコや層に光が当たって、はね返るときに生まれる色のこと。シャボン玉やCDの裏、タマムシの羽がキラキラ光るのも構造色です。今回の発見は、翼竜がこの“光のマジック”をすでに使っていたかもしれない、という証拠なのです。
もし翼竜が玉虫色に輝いていたなら、それは仲間へのアピールや、相手をさがすためのサインだったのかもしれません。色は、ただの見た目ではなく、その動物がどう生きていたかを教えてくれる大切なヒント。化石から“色”を読み解く研究は、いま世界中で大注目されています。
中国の翼竜シノプテルスの体毛から見つかった、玉虫色の輝きの証拠。鳥よりずっと前から、空をとぶ生きものは“キラキラ”をまとっていたのかもしれません。まだプレプリント段階の研究ですが、翼竜のイメージをぬりかえる、わくわくする発見です。
出典:Science News「Some pterosaurs may have boasted bold iridescence」/論文:bioRxiv プレプリント「Iridescence in pterosaur pycnofibers…」(2026年5月)(最終確認:2026年6月)
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