
「岩の中に、赤ちゃん恐竜がまるごと隠れていた」——そんなロマンあふれる発見が韓国から届きました。2026年、韓国で15年ぶりとなる新種恐竜「ドゥリサウルス・フミニ(Doolysaurus huhmini)」が報告されたのです。人気アニメキャラにちなんだ愛らしい名前と、最新技術が解き明かした“岩の中の秘密”が話題を呼んでいます。本記事では、この発見のポイントをやさしくまとめました。
ドゥリサウルスは、「テスケロサウルス類」と呼ばれる、二本足で歩く小型〜中型の植物食恐竜のグループに分類されます。生きていたのは中生代の白亜紀の半ば、いまから約1億1300万〜9400万年前ごろ。研究者は「ちょっと小さな子ヒツジのような姿だったかもしれない」と表現しており、体の一部がふわふわとした毛のようなもので覆われていた可能性も指摘されています。映画に出てくるような巨大で怖い恐竜とはまったくちがう、なんとも愛らしい恐竜だったようです。
今回見つかった個体は、なんと生後2歳ほどの幼い赤ちゃん恐竜。大きさは七面鳥ほどで、大人になればその2倍ほどに成長したと考えられています。赤ちゃん恐竜の化石は、骨が小さくてもろく、保存されにくいため、世界的にもとても貴重。成長の途中の姿がわかる化石は、その恐竜が「どう生まれ、どう育ったのか」を知る大きな手がかりになります。
化石が見つかったのは、韓国南西部の阿波(アパエ)島。2023年に、研究の共著者であるヒェミン・ジョ氏によって発見されました。これは韓国では15年ぶりとなる新種恐竜であり、さらに韓国で初めて頭骨(頭の骨)の一部を含む恐竜化石でもあります。頭の骨は、その恐竜が何を食べ、どんな感覚をもっていたかを知るうえでとても重要。韓国の恐竜研究にとって、まさに記念碑的な一歩となりました。
この発見の主役は、最新の画像技術「マイクロCTスキャン」です。化石は岩にしっかりと包まれており、外からは全体像が見えませんでした。そこで研究チームは、米テキサス大学オースティン校の高精細X線CT施設で岩ごとスキャン。すると、岩の内部に隠れていたほぼ全身の骨格が浮かび上がり、外からは見えなかった頭骨まで確認できたのです。もし石を少しずつ削って取り出していたら何年もかかったはずの作業が、CTのおかげでわずか数か月で進みました。化石を壊さずに“中身”を見られる、現代古生物学の強力な武器です。
さらにCT解析では、赤ちゃん恐竜のおなかのあたりから数十個もの胃石(ガストロリス)が見つかりました。胃石とは、飲み込んだ小さな石のこと。胃の中で食べ物をすりつぶす“ミル(石うす)”の役割を果たします。これらが整った状態で残っていたことから、化石の多くが岩の中にきれいに保存されていたこともわかりました。胃石の存在は、ドゥリサウルスが植物だけでなく昆虫や小さな動物も食べる雑食だったことを示しています。
「ドゥリサウルス」という名前は、韓国で長年愛されている人気アニメキャラクター「ドゥリ」にちなみます。頭にちょこんとある“ふさ(房)”がよく似ていることから名づけられました。子どもにも親しみやすい、遊び心のある命名です。一方、種小名の「フミニ(huhmini)」は、長年にわたり恐竜研究に貢献し、韓国の恐竜研究センターを立ち上げた古生物学者ホ・ミン(Min Huh)博士への敬意を表したもの。アニメの楽しさと、研究者へのリスペクトが同居した、すてきな名前です。
赤ちゃん恐竜の化石は世界的にも数が少なく、しかも頭骨や胃石まで保存された全身骨格となれば、研究上の価値は計りしれません。テスケロサウルス類という、これまであまり目立たなかったグループの成長や暮らしを知る手がかりにもなります。さらに、化石を壊さずに調べるマイクロCTの有効性をあらためて示した点でも意義深い研究です。アジアの恐竜研究が世界の最前線で活躍していることを示す、うれしいニュースでもあります。
この研究は、テキサス大学オースティン校ジャクソン地球科学スクールのジョンユン・ジョン氏、ジュリア・クラーク氏、ミングク・キム氏、そして発見者のヒェミン・ジョ氏らによるもので、成果は2026年3月19日付の学術誌『Fossil Record』に発表されました。
韓国・阿波島で15年ぶりに見つかった新種「ドゥリサウルス・フミニ」は、岩の中に隠れていた赤ちゃん恐竜の全身骨格を、マイクロCTで解き明かした画期的な発見です。人気キャラにちなむ愛らしい名前、頭骨や胃石まで残った貴重な化石、そして最新技術の活躍——子どもから大人まで夢が広がるニュースです。アジアの恐竜研究の進化に、これからも注目していきましょう。
ドゥリサウルスが属するテスケロサウルス類は、大きな角やよろい、長い首をもたない、いわば“地味だけれど身近な”小型〜中型の植物食恐竜のグループです。すばやく走って肉食恐竜から逃げるのが得意で、白亜紀の終わりごろまで生き延びた仲間もいます。派手さはありませんが、当時の生態系の土台を支えた大切な存在。図鑑の主役級の恐竜たちのかげで、こうした小さな恐竜が数多く暮らしていたことを思い出させてくれます。
あまり知られていませんが、韓国は世界有数の恐竜化石・足跡の産地です。とくに南部の海岸には、白亜紀の恐竜たちが残した無数の足跡化石が見つかっており、学術的にも非常に重要な地域として知られています。今回のドゥリサウルスの発見は、そんな韓国の恐竜研究の層の厚さを、あらためて世界に示すものとなりました。アジアの国々から、今後も新しい発見が続々と生まれることが期待されます。
巨大で強い恐竜ばかりが注目されがちですが、ドゥリサウルスのような小さくて愛らしい恐竜にも、たくさんの発見のタネがつまっています。とくに赤ちゃんの化石は、恐竜が「どう育ったのか」という、化石からはなかなかわからない“成長の物語”を教えてくれる特別な存在です。親子で「どんなふうに大きくなったのかな?」「何を食べていたのかな?」と想像しながら、こうしたニュースを楽しんでみてください。
赤ちゃんの段階の骨格が詳しくわかったことで、ドゥリサウルスが大人になるにつれて体つきや食べ物がどう変化したのか、今後の研究で明らかになっていくかもしれません。同じ地層からさらに化石が見つかれば、当時の韓国の自然や、ともに暮らした生き物たちの姿も見えてくるはずです。続報を楽しみに待ちましょう。
出典:ScienceDaily「Scientists found a baby dinosaur hidden in rock and it is surprisingly cute」/研究論文:Fossil Record(2026年3月19日)(最終確認:2026年6月)