
恐竜時代の終わりごろ、北アフリカにすんでいた竜脚類の新種が、モロッコのリン鉱山から見つかりました。フォスファトティタン・コウリブガエンシス(Phosphatotitan khouribgaensis)です。巨大化することで有名なティタノサウルス類の仲間でありながら、意外にも“小ぶり”だったことがわかり、2026年に学術誌『Diversity』で報告されました。
属名のフォスファトティタンは、モロッコの豊かなリン鉱床(phosphate)と、竜脚類によく使われる「ティタン(巨人)」を組み合わせたもの。種名「コウリブガエンシス」は、化石が見つかったコウリブガ州にちなみます。発見地は、シディ・チェンナンというリン鉱山でした。
ティタノサウルス類といえば、全長30メートル級のパタゴティタンなど、史上最大級の陸の動物がそろうグループです。ところがフォスファトティタンは、推定体重およそ3.5〜4.3トンほど。あの巨大なパタゴティタンとくらべると、わずか6%程度の重さしかありませんでした。竜脚類のなかには、こうした“小柄なタイプ”もいたのです。
フォスファトティタンが生きていたのは、約6600万年前の白亜紀のいちばん終わり(マーストリヒチアン後期)。恐竜が絶滅する大事件のすぐ前の時代です。見つかった骨は背骨や腰の骨など断片的でしたが、白亜紀末のアフリカにどんな恐竜がいたのかを知る貴重な手がかりになります。
興味深いことに、フォスファトティタンは南米のティタノサウルス類とも特徴を共有していました。研究を率いたニコラス・ロングリッチ博士らは、白亜紀末のアフリカにはその地域ならではの恐竜(固有種)が暮らしていた証拠だと考えています。大陸ごとに恐竜たちが独自の進化をとげていた様子がうかがえます。
リン鉱山から現れた“小ぶりな巨人”フォスファトティタン。巨大化のイメージが強いティタノサウルス類にも、いろいろな大きさの仲間がいたことを教えてくれます。恐竜最後の時代のアフリカの姿に、また一つピースが加わりました。
出典:Wikipedia「2026 in archosaur paleontology」/論文:Diversity vol.18(5)(ロングリッチほか、2026年)(最終確認:2026年6月)