
アルゼンチン北部パタゴニアの白亜紀後期の地層から、新種の肉食恐竜「リンコンラプトル・ピポアエ(Rinconraptor pipoae)」が発見され、論文として発表されました。アルゼンチンのCONICET(国立科学技術研究会議)に所属するアリエル・エルナン・メンデス氏らの研究チームが、学術誌「Palaeontologia Electronica」に報告しています。
化石が見つかったのは、リンコン・デ・ロス・サウセス市の南西約50kmに位置するセロ・オベロ地域です。ネウケン盆地のバホ・デ・ラ・カルパ層という、約8300万年前のサントニアン期にあたる地層から、尾の骨10個あまりや上腕骨・脛骨の一部などが、およそ4平方メートルの範囲に散らばった状態で見つかりました。これらの骨を分析した結果、既知の種とは異なる特徴を持つことが判明し、新種として記載されました。
リンコンラプトルは、細身の後肢や強く湾曲した歯、大きな鉤爪を特徴とする獣脚類のグループ「メガラプトル科」に属します。尾の骨の比較から、全長はおよそ7mと推定されています。尾の節の数はティラノサウルスに似た40〜45個以上に達するとみられ、体のつくりの一端がうかがえます。なお同じ地域からは、種を特定できていない別のメガラプトル類の化石も見つかっており、そちらは体長6〜8.5mほどと推定されています。
注目されるのは、リンコンラプトルが生きた同じ時代・同じ地域に、大型の肉食恐竜「アベリサウルス類」も生息していた点です。研究チームは、この2つの系統が食物などの資源を奪い合っていた可能性と、それぞれ異なる獲物や環境に適応することで共存していた可能性の両方を指摘しています。この地域には竜脚類(ティタノサウルス類)やイグアノドン類なども生息しており、当時の生態系が多様性に富んでいたことを示す発見といえます。
メガラプトル科の化石は断片的なものが多く、分類や進化の道筋については研究者の間で議論が続いています。南米産の新種が加わったことで、このグループの多様性や生態についての理解がさらに深まることが期待されます。
出典: Sci.News(原論文: Méndez et al., Palaeontologia Electronica, 2026, DOI: 10.26879/1738)
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