
中国・遼寧省の下部白亜系ジウフォタン累層(熱河生物群、約1億2000万年前)から、翼のような前あしと羽毛に覆われた後ろあしをもつ新種の小型肉食恐竜が発見されました。学名は「ノレルラプトル・バルスボルディ(Norellraptor barsboldi)」。中国・河北地質大学の季強博士とイタリア・OPHIS古生物学博物館のアンドレア・カウ博士らの国際研究チームが、全長57センチメートルのほぼ完全な骨格をもとに記載し、研究成果は学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表されました。
ノレルラプトルは、翼のような前あしと、後ろあしにまで羽毛が生える特徴的な体をもつ「ミクロラプトル類」という小型肉食恐竜のグループに属します。ミクロラプトル類は前期白亜紀を中心に知られ、羽毛と翼のような四肢を併せ持つことから、滑空や飛行の能力をもっていた可能性が指摘されてきました。今回の化石は羽毛の痕跡も良好に保存されており、体の構造を詳しく調べる貴重な材料となりました。
研究チームはノレルラプトルを含むミクロラプトル類の系統で起きた194の解剖学的な変化を分析し、そのうち約57個(全体のおよそ3割)が鳥類の進化でも見られる特徴と共通することを明らかにしました。ところが、同じような特徴が現れる“順番”は、ミクロラプトル類と鳥類とで異なっていたといいます。鳥類では手首や手の骨の癒合が比較的早い段階で起こるのに対し、ミクロラプトル類では指の骨が先に短縮し、骨の癒合はあとから進むという違いが見られました。
研究チームは、この違いについて「ミクロラプトル類と鳥類では、それぞれ異なる選択圧が飛行関連の特徴を形づくった可能性が高い」と指摘しています。つまり、恐竜から鳥へと続く一本道だけでなく、ミクロラプトル類もまた独自に“飛行への適応”を進めていたことになります。ノレルラプトルの発見は、空を飛ぶための体のつくりが恐竜の歴史の中で少なくとも二度、別々に進化した可能性を示す貴重な証拠といえそうです。
出典: Sci.News
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