
アメリカ・ニューメキシコ州で約20年前に見つかった1個の頭の骨。その正体をめぐる長い研究の末、”恐竜界の頭脳派”トロオドン類の新属新種ディネヴェナトル・ロブストゥス(Dinevenator robustus)と命名されました。約7300万年前(白亜紀後期)のニューメキシコに、これまで知られていなかったハンターがいたのです。
この化石は2005年の夏、ニューメキシコ州北西部のサンフアン盆地にあるカートランド層から発掘された、左の前頭骨(目の上あたりの頭の骨)です。
2006年にはヴェロキラプトルに近い「ドロマエオサウルス類」の新種として発表されましたが、その後の研究で2014年には「トロオドン類」に分類し直されました。そして2026年、あらためてくわしく調べた結果、どのトロオドン類ともちがう特徴をもつまったく新しい属だとわかったのです。たった1個の骨でも、研究が進むと正体が見えてくるんですね。
属名の「ディネヴェナトル」は、化石が見つかった土地に暮らす先住民ナバホの人々が自分たちをよぶ言葉「ディネ(Diné)」と、ラテン語で狩人を意味する「ウェナトル(venator)」を組み合わせたもの。種名の「ロブストゥス」は「がっしりした」という意味で、ほかのトロオドン類よりも分厚くてじょうぶな前頭骨にちなんでいます。
トロオドン類は、体のわりに大きな脳をもつことで知られる、鳥にとても近い小型の肉食恐竜のグループです。大きな目で暗いところでも獲物を見つけられたと考えられています。
多くのトロオドン類は体長1〜2mほどですが、ディネヴェナトルは骨の大きさから体長2.4〜3mほどと推定され、トロオドン類のなかではかなりの大型メンバーになります。がっしりした頭の骨とあわせて、たくましいハンターだったのかもしれません。
今回の研究で、約7300万年前のニューメキシコには、ティラノサウルス類やドロマエオサウルス類にくわえて大型のトロオドン類もいたことがわかり、この地域の肉食恐竜は思っていたよりずっと多様だったことが見えてきました。研究はサリバン博士とジャシンスキー博士によって専門誌に発表されました。まだ見ぬ全身骨格が見つかれば、ディネヴェナトルの姿がもっとはっきりするはずです。
出典:Sci.News「New Troodontid Dinosaur Genus Identified from Fossil Bone Found Decades Ago in New Mexico」/Fossil Studies(2026年8月)
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