
肉食恐竜スピノサウルスは、生涯の大半を水中で過ごしていた可能性が高いことが、米イェール大学の新しい研究でわかりました。四肢の骨の比率をAI(機械学習)で解析する新手法によって導かれた結論で、長年議論が続いていた「水中で泳いで狩りをしたのか、岸辺を歩いて餌を探しただけなのか」という論争に、有力な材料を加えるものです。
研究チームは、現生動物と化石動物を合わせて1万1000件以上の骨格データ・写真・CTスキャンを収集し、手足の骨の比率から生活様式を予測する機械学習モデルを構築しました。このモデルは、化石には残りにくい軟組織の「ひれ」の有無まで、9割を超える精度で推定できるといいます。筆頭著者のケイレブ・ゴードン氏(イェール大学で学位取得、現フロリダ自然史博物館)らの成果は、学術誌Current Biologyに発表されました。
このモデルを北アフリカの白亜紀後期に生きたスピノサウルスの化石に当てはめた結果、四肢の比率は水中で過ごす動物の特徴を強く示し、生涯の大部分を水中で過ごしていたと結論づけられました。アザラシやペンギンのように水中で積極的に獲物を追いかけていたとする説を後押しする結果です。
同じ手法を古生代に生きた水生爬虫類メソサウルスに適用すると、これまで完全な水生動物とみなされてきたにもかかわらず、実際は陸と水を行き来する両生的な生活をしていた可能性が示されました。研究チームは、骨格だけから生活様式を読み取る従来の手法には研究者の主観が入りやすかったと指摘し、今回の数値的な手法がその課題を減らすことにつながると説明しています。
研究チームは今後、この手法を人類の二足歩行の起源や、恐竜から鳥類への飛翔能力の進化の解明にも応用できる可能性があるとしています。骨の形という地味なデータから、絶滅動物の知られざる暮らしぶりが少しずつ明らかになってきています。
出典: ScienceDaily「New evidence suggests spinosaurus spent most of its life underwater」
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