
ブラジル南部で見つかった一片の骨が、初期の大型肉食恐竜「ヘレラサウルス類」の知られざる生存戦略を浮かび上がらせました。環境が大きく変わった後の地層から、この恐竜の化石が初めて確認されたのです。三畳紀後期という恐竜がまだ多様化の途上にあった時代に、彼らがどのように生き延びたのかを考えるヒントになりそうです。
化石が見つかったのは、ブラジル・リオグランデ・ド・スル州アグド近郊のヴァルゼア・ド・アグド産地です。パラナ盆地のサンタマリア層から出土したのは、ヘレラサウルス科恐竜の骨盤の一部(恥骨)で、標本番号はCAPPA/UFSM 0539とされています。この地層は約2億3000万年前、三畳紀後期のカーニアン期にあたります。
ヘレラサウルス類は、ヘレラサウルスやスタウリコサウルスなどが知られる初期の大型肉食恐竜のグループです。恐竜がまだ生態系の中で優位な地位を確立していなかった三畳紀に、頂点捕食者として活動していたと考えられています。
この産地の地層は、下部では植物食の爬虫類ラインコサウルス類が優勢でしたが、上部ではキノドン類の一種エクサエレトドンが増え、ラインコサウルス類に代わって目立つようになる変化が記録されています。これまでヘレラサウルス類の化石は、こうした生態系の転換が起きた後の層からは見つかっていませんでした。
ところが今回の恥骨は、まさにエクサエレトドンが優勢になった層から出土しました。研究チームはこれを、ヘレラサウルス類が生態系の大きな変化を経ても姿を消さず、環境に適応しながら生き延びていた可能性を示す証拠と位置づけています。
研究を率いたサンタマリア連邦大学のロドリゴ・テンプ・ミュラー氏らは、もしブラジルの地層がアルゼンチンで見つかっている化石より新しい時代のものだと確認されれば、これまで知られている中で最も新しいヘレラサウルス類の記録になる可能性があるとも指摘しています。ただし、この化石は一つの骨片に基づく発見であり、論文自体も地層の絶対年代測定が今後不可欠であるとしています。断定的な結論ではなく、今後の調査で検証されるべき仮説として受け止めるのがよさそうです。
わずかな骨の破片からも、恐竜がどのように環境変化を乗り越えてきたのかを探る手がかりが得られることを示す、興味深い研究といえます。
出典: Sci.News
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