
北海道夕張市で見つかっていた化石が、日本ではじめて正式に名前のついたヨロイ竜(アンキロサウルス類)だとわかりました。名前はニッポノペルタ・エゾエンシス(Nipponopelta yezoensis)。約9600万〜9400万年前、白亜紀後期の海べにくらしていた恐竜です。
「ニッポノペルタ」は、日本をあらわす「ニッポン」と、たて(よろい)を意味する「ペルタ」を合わせた名前です。種名の「エゾエンシス」は、北海道の古い呼び名「蝦夷(えぞ)」にちなんでいます。名前を聞いただけで、日本生まれのヨロイ竜だとわかる学名です。
化石が見つかったのは1995年6月、夕張市を流れる大巻沢川(おおまきさわがわ)のノジュール(かたい石のかたまり)の中からでした。地層は蝦夷層群の日陰の沢層。見つかってから30年ちかくたって、ようやく正体がわかったことになります。
研究をリードしたのは、北海道大学の大薮駿平さんたちのチーム。日本・カナダ・アメリカの研究者が協力しました。決め手になったのは3D CTスキャンです。石の中にうまっていて外からは見えなかった部分を、コンピューター上で立体的に復元。その結果、下あご・2本のきれいな歯・左の内耳(ないじ)まで観察できました。
とくに頭の後ろ側には、ほかのヨロイ竜にはない特徴があることがわかり、新しい属・種だと結論づけられました。
ニッポノペルタは、ヨロイ竜の中でもノドサウルス類というグループのなかまです。アンキロサウルスのように尾の先にこん棒(ハンマー)はなく、そのかわり背中や肩に大きなトゲが並ぶのが特徴のグループ。頭の骨がしっかり残ったアジアのノドサウルス類としては、これが2例目という貴重な標本です。
研究チームによると、ニッポノペルタは海の影響をうける環境、つまり海岸や河口のあたりでくらしていたと考えられています。化石が海の地層から出てくるのも、そうした場所でくらしていた体が、川や波で海へ運ばれたからだと見られます。
日本ではフクイラプトルやフクイサウルスなど、いくつもの恐竜に名前がついてきました。でもヨロイ竜はこれがはじめて。しかも30年前の化石が、新しい技術によって新種としてよみがえりました。博物館の収蔵庫には、まだ名前のついていない化石がたくさんねむっているのかもしれません。
研究成果は2026年8月21日、国際誌『Cretaceous Research』に発表されました。
出典:Sci.News「New Species of Armored Dinosaur Identified in Japan」/Cretaceous Research(2026年、doi:10.1016/j.cretres.2026.106477)
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