
北米の白亜紀中期(約1億〜1億1300万年前)の地層から出土した恐竜やワニの仲間、カメ、魚の歯を調べたところ、海岸に近い場所に暮らしていた動物ほど、炭素の重い同位体である炭素13を多く含んでいることがわかりました。アーカンソー大学のクレイトン・フォースター博士らの国際研究チームが、学術誌「Frontiers in Ecology and Evolution」に発表した成果です。
研究チームは、カナダやアイダホ州、ユタ州、オクラホマ州、テキサス州の沿岸地域と、ワイオミング州・モンタナ州のクローバリー累層をはじめとする内陸の地層など、北米6か所の化石産地から歯のエナメル質を採取し、炭素同位体の組成を分析しました。その結果、沿岸の地点から得られたエナメル質は、内陸の地点のものより一貫して炭素13の割合が高いことが判明しました。
歯のエナメル質に炭素13が多く含まれることは、これまで恐竜自身の体の仕組みや、森の樹冠がつくる独特の環境、当時の大気中の二酸化炭素濃度の違いなどによって説明されてきました。しかし研究チームは、これらの要因だけでは沿岸と内陸の差をうまく説明できないと指摘し、海藻など海由来の資源を直接的・間接的に取り込んでいたことが、炭素13の濃縮につながった可能性があるという新しい解釈を示しました。
研究チームが想定しているのは、海岸に打ち上げられた海藻を恐竜が直接口にしたり、海藻を食べる小動物や、海からの養分を吸収した沿岸の植物を介して間接的に海の資源を取り込んだりしていた可能性です。断定的な証拠ではないものの、白亜紀の沿岸に暮らした恐竜たちの食生活が、陸の植物だけに頼っていたわけではなかったことを示す手がかりとして注目されています。今後、同位体データの蓄積や他地域での検証が進めば、恐竜と海とのつながりがさらに明らかになっていくことが期待されます。
出典: Sci.News
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